IT大国ロシア

ロシアのITベンチャー、ロシアの大学生、ロシアのあれこれ、日本ではアクセスしにくい情報やニュースを発信します。

勝手に選ぶ、ロシアで注目すべきインキュベータ 10選


僕自身、ビジネスコンテストやカンファレンスなど、イベントが大好きなので、インキュベータやアクセラレータプログラムには興味津々です。

そこで今回は、独断と偏見で、注目を集めている or 実績のある支援者(インキュベーションセンター、VC、プログラムなど)をご紹介します。


-大学編-

МГУ Бизнес-инкубатор
2011年に設立された、モスクワ大学附属のインキュベーションセンター。既に29社を支援しており、企業価値は 30億円にのぼるとされています。さらに、15億円程度のファンド設立に向けて準備中です。大学附属のインキュベータとしてはトップの実績を誇っています。

HSE{Inc}Business Incubator
2006年にロシアではじめて設立された、学生向けのビジネスインキュベータ。National Research University - Higher School of Economics (HSE)。入居企業は15社までで、ロシアの最大のビジネスコンテスト に2年連続でファイナリストも輩出しています。ロシアでは歴史も長く、ある程度ネームバリューを持っています。


-ファンド編-

Фонд Развития Интернет-Инициатив (ФРИИ)
ネットビジネスに特化したアクセラレータ。
20137月設立。1回目のプログラムでは、35社が参加し、45社にはコンサルティング(オンライン含む)のみ提供し、全部で80社を支援しました。3ヶ月のプログラムで、株式7% と引き換えに、アイデア段階でも250万の投資を行います。プーチン大統領の後ろ盾 があるようで、3年で190億円の予算がついていますが「もっと出してもよい」と積極的な姿勢を見せています。

Phystech Ventures
理系教育が盛んで、
起業家を多く輩出しているモスクワ物理工科大学に
特化したVCファンド。Fintech, Edutech, HealthcareIT, 3D-printing, Efficient energy use, Technologies in oil & gas の分野に1件あたり5000万円程度のシード投資を行っていく。RunaCapital AlmazCapital という有名なVCファンドのキャピタリストらが運用し「ビジネスサイドは全部やる」と公言しています。


-プログラム編-

Startup Access
MITを卒業したロシア人のシリアルアントレプレナーが設立。プログラムでは、20人のメンター、10人のVCと共に 2週間ボストンに滞在します。MITネットワーク(MIT100K, MIT Media Lab, MIT Sloan Business School )にアクセスでき、フィードバックやネットワーキングが可能になります。年2回の開催で、各回10~15組が対象。

Deep Dive
RIS Venture シリコンバレーにて開催するプログラム。ロシア生まれで、Evernote創業者フィル・リービンをはじめ、シリコンバレーで有名な起業家がメンターにつきます。参加者の95%が自分のサービスに有益だったと感じています。また、モスクワでも、(クラウドSaaS)スタートアップ向けにスタートアップガレージという23日のプログラムをマイクロソフトと提供しています。

Launch-Gurus
スコルコボビジネススクール
にある "スタートアップアカデミー" からスピンアウトしたプログラム。2年間で100社を支援し、卒業生のスタートアップには50億円の企業価値がついています。プログラムは10週間にわたり、2週間はシリコンバレーに滞在します。参加費は11500ユーロ。2014年 5月より、VC向けのアカデミーを開校予定。


-地方編(≒行政編)-
Ingria
サンクトペテルブルク
最大かつ有名なインキュベータ。2008年に政府主導で設立されました。現在は、IT、バイオ、ハイテク の分野から 86社が入居しており、2009年から30億円以上の増資を支援し、支援先の総売上は36億円にのぼります。

Navigatorcampus
第二のロシア版シリコンバレー カザンにある、3Dプリンターやウェアラブルをはじめとした、ハードウェアに特化したアクセラレータ。3Dプリンターはもちろん、プロトタイプの製作に特化した工作室があり、Dell, Samsung, IBM, Cisco, Intel などから技術指導を受けることもできます。20社の枠があり、15社ほど既に入居しています。

Academpark
学術都市ノボシビルスクにあるインキュベータ。学術研究に基づいたビジネスベンチャー企業を創出しようと、研究機関、大学、インキュベーションセンターが徒歩圏に集まり、シベリア発のベンチャーエコシステムを創ろうとしている。


感想
これらを知っていれば、ロシアの傾向を掴めるといっても過言ではないと思います。ロシアでは(も?)、リーマンショック後、いろんなプログラムや組織が立ち上がっており、スタートアップ界隈は盛り上がりはじめています。

VCについて、日本との大きな違いは、支援者にシリアルアントレプレナーが多いことだと思います。決して知名度が高いわけではないですが、30~40代で2社以上の Exit 経験があるのは珍しくない、という感じです。さらに、多くの方がコンピュータサイエンスか物理学で修士号、博士号を取得しています。

あと、日本でいう KDDIの無限ラボ、NTTのイノベーションビレッジのような、大企業による支援プログラム、というのは聞きません。まだまだIT業界(ネット業界)が小さいというのもあると思いますが。

ロシア人には英語通じないって言ったやつ誰だよ



ロシアといえば、英語が通じない国というイメージがないでしょうか?

僕は、ロシア人と一緒に働くならロシア語が必須だろう、と思い、ロシア語の勉強をはじめました。でも、実際、ロシア語を使うより、英語を使うことの方が多いです。


英語が通じなかった経験

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2年前の夏、短期の語学研修でサンクトペテルブルクに来ました。研修を終え、空港に向かうと、予約したフライトがキャンセルされていました。人生ではじめてのフライトキャンセルだったので、慌てて、チケット売り場のおばちゃんに英語で話しかけましたが、ロシア語で「英語は話せない」と返ってきました。それならということで、拙いロシア語で話し、そのときは事なきを得ました。このとき「空港といえども、年配の方には、ホント英語が通じないんだ...」と感じ、ロシア語への学習意欲が高まった時期でした。


IT業界の公用語はほぼ英語
昨年の12月、TechCrunch Moscow に参加しました。驚くことに、プレゼンはすべて英語、ブース展示でも「私の英語は下手だけど」と日本人のように譲歩しつつも、みんな流暢な英語を話しました。

イベントで知り合ったベンチャーキャピタルに、ロシア語でメールを送ったところ、以下のような返事をいただきました。

I very much appreciate your knowledge of Russian, however our working language is English, because our team is international. so I suggest we continue our correspondence in English.

展覧会といえど、参加者の多くはロシア人なので、ロシア語も飛び交っているのですが、僕みたいな人と話すときは、英語に切り替わります。流暢な人は、英語を話して当然、という反応ですが、普段は英語を使わない人たちから「英語を話す機会をありがとう!」とまで言われる始末です。*1

ちなみに、ロシア人は流暢に話しますが、発音はとても聞き取りやすいです。さらに、基本単語しか使わないので、アメリカ人と話す感覚よりは、アジア人同士で話している感覚に近いです。


ロシア語はいつ必要?

ざっくりいうと、IT業界、VCやインキュベータ以外は、英語よりロシア語の方がよいと思います。もう少し具体的に、ロシア語を話せた方がいい!と感じるシーンは主に以下の2つです。

中流階級
市場調査の一環で、中流階級の生活事情を垣間見る場合 は重要になるでしょう。駐在員などは手厚い保障があると聞いていますが、ゆえに、彼らが接するロシア人はきっと裕福の層に偏っているのではないかと思います。(日本製品を購入できる層という意味では理にかなっているのかも…)

例えば、飛行機で移動すれば数時間で済むような移動でも、僕は意図的に電車を使うようにしています。有名大学に進学する人たちは軒並み家庭も裕福なので、中流階級の方とじっくり接するのは夜行電車くらいしかありません。勝手に見かけだけで判断していますが、やっぱり、身なり、知識量 はまったく違います。

②地方都市
モスクワ南部には100万人都市が複数あるのですが、ボルゴグラードやカザンに行ったとき、大学生であっても、中学生英語しか使えません。とはいえ、多くの企業はモスクワやサンクトペテルブルクに集中しています。では、地方都市の魅力は、というと、R&Dセンターのために、優秀なプログラマを安い人件費で雇う場合です。


感想
確かに、ちょっとした買い物やレストランではロシア語が必須です。しかし、M&Aなどを見据えて、起業家、VC、インキュベータと意見交換をするのなら、英語で十分です。現地パートナーなしでロシア参入を考えるのは、きっと無謀なことだと思うので、IT業界は英語で十分なんじゃないのかな、と最近改めて感じます。

もちろん、ロシア語を喋れた方が、信頼の向上、アポイントの取りやすさなどに影響はすると思います。ただ、中途半端なロシア語は披露する機会も少なく、英語もっと勉強しなきゃなあ、という僕の想いを文章にしてみました。

*1:いわゆるセミナーはロシア語ばかりです

ロシアのEC市場では、Amazon にチャンスはない。


ロシアでもようやくECに火がつき始めています。前年比 31%の伸びを見せ、2013年のEC市場は約8000億円、2015年には1兆円を突破するとされています。

先月、モスクワから電車で20時間の ボルゴグラード大学 へ行ったとき、

学生「ネットで本注文したんだけど、2週間くらいかかるかなー」
僕「 へー、2日で届くんだ!」
学生「いやいや、2週間だってw」

という会話をしました。ロシアのインフラは最悪だ、と物流に課題を残すロシアですが、それは ロシア郵便 を使った場合です。最近は、モスクワを中心に、自社配送まで担ったECサイトが伸びています。

それでは、ECサイト TOP5 をご紹介します。ちなみに、企業名はロシア語読みです。


1. Юлмарт (ユルマート)

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サイト:Ulmart.ru
設立:2008年
社員数:6500人
売上高:1021億円

ピザ屋の電子機器バージョン。文字通り、電子機器が送られてくるのですが、

  1. 家でネット検索、宅配を待つ
  2. 家でネット検索、店舗へ取りに行く
  3. 店舗で検索、店舗で受け取る

3つの方法があるのが特徴です。この記事によると、どの方法でも現金支払が可能で、未だクレジットカードの保有率が低いロシアでは、これが Amazon に対する大きな強みになるとしています。一方、Amazon はフェデクスやDHLに並ぶ運送会社UPSと契約しているので、柔軟な対応はできないようです。

物流に関して、このインタビュー記事によると、在庫を自社の配送センターで抱えることで、発送準備にかかる時間を平均 7分に短縮し、ロシアといえど、1日〜2日の配送を可能にしたそうです。*1

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というわけで、実際にユルマートに行ってみました!

最寄駅からバスで10分、徒歩で20分のところで、平日の昼間に、50人くらいのお客さんが店舗でネットに向かい、スタッフは約 20人いました。接客サービスの質は日本と比べて遜色なく、冷やかしの僕も優しくしてもらいました。

電子機器を中心に 35,000点を扱っており、330万人/週 がサイトを訪れています。1000万枚のポイントカードを発行済みで、ポイント還元や割引広告などのマーケティングはヒットしているようです。たしかに電車広告をよくみかけます。

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2位以下は、もうちょっとスマートに、要点だけまとめていきます。


2. Ситилинк (シティリンク)

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サイト:Citilink.ru
設立:2008年
社員数:3000人
売上高:868億円

電子機器に特化したECサイト。30万人/日がサイトを訪問。 3600億円の売上があるコンピュータ機器を扱う Merlionの販売代理店です。自社を電子機器のディスカウントショップと位置づけています。


3. Wildberries
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サイト:Wildberries.ru
設立:2004年
社員数:4500人
売上高:530億円

ロシア版ZOZOTOWN創業者は、ドイツから最新の洋服をとりよせ、転売をしていた英語教師でした。一念発起して夫婦で創業したネットショップは拡大し、今では、ロシアのアパレルEC最大手にまで成長しました。1000ブランド、10万点を扱い、250万人のユーザーがいます。150の流通拠点を持ち、ロシア全国で送料無料、です。


4. Ozon (オゾン)

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サイト:Ozon.ru, Sapato.ru, Ozon.travel
設立:1998年
社員数:2270人
売上高:350億円

ロシア版 Amazon楽天も出資している 利用者数ロシアNo1 のサイトです。Amazonを意識した経営戦略を打ち出しています。詳しくは以下をご覧ください。

ロシア最大のECサイト OZON.ru - IT大国ロシア


5. Biglion

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サイト:Biglion.ru
設立:2010年
社員数:1500人
売上高:334億円

ロシア版グルーポン創業者はロシア最大のメディア РБК の元副局長。数年前から電化製品や家庭用品にも裾を広げ、5000件/日の注文があります。商品/サービスは、50%〜90%のディスカウントがされており、販売手数料が収益源です。こちらもロシア全国で送料無料、です。


感想
大型ECになると、送料無料自社配送 が必須のようですね。とはいえ、ITリテラシーが高いのは西側に偏っているので、西から東まで配送しているわけではなさそうです。あと、Yhaoo、楽天のような総合プラットフォームはまだないようで、特化型が目立ちます。大きくなったら業界の #1に売却するのでしょう、10位前後には小型のECが乱立しています。

ちなみに、Amazon はロシア市場において電子書籍に力を入れています。ロシアにおいて、外資企業がサプライチェーンを構築する難しさを物語っている気がします。


出典:Forbes.ru

*1:13都市 29カ所のターミナルがあって、120都市 250カ所に配送センターがあります。その内、モスクワに 9カ所のターミナルと 11の配送センター、ペテルブルクに 7カ所のターミナルと 39の配送センターがあります

ロシア就職先ランキング 2013年度版


最近になって、また雪が降るようになりました。でも寒くはありません。

僕の通うサンクトペテルブルク大学経営学部は、ロシアのビジネススクールで 7年連続 1位に選ばれるとてもいいビジネススクールです。先週、大学の授業 (International Finance)で Citibank の方がゲストスピーカーとして登壇しました。

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そういえば、秋頃にはロスネフチ*1という世界最大の石油会社の企業セミナーがあり、大学の廊下には、P&G、ユニリーバPwC などのポスターが貼ってあります。

ロシアで "在学中の就職活動" はあまり主流ではないのですが、さすが将来は幹部候補の学生たち、インターンシップの応募などに関しては積極的で、ロシアといえど日本とあまり変わらない気がします。

そこで、ロシアの人気就職先を探してみたら、UNIVERSUMという企業が Russia's Ideal Employers 2013 という調査を行っていました。

Number of participants in 2013: 10,439 respondents
Number of universities targeted: 72 leading universities
Number of employer evaluations: 29,845
Field period: December 2012 to March 2013

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簡単な解説をしておくと、ガスプロム*2、ルクオイル*3、ロスネフチ*4はロシアを代表する天然資源。ズベルバンク*5、VTB24 は銀行。ヤンデックスはロシア版 Google

2011年のアンケートでは、就職活動で考慮することトップ3は以下の通りでした。

‘Financial Strength’ (62%), ‘Market success’ (46%) and ‘Good reputation’ (34%)


ビジネス部門
外資コンサル、外資メーカーの人気は日本と同じですが、2011年と比べると面白い傾向が2つあります。

①自動車メーカー
2011年は、4位にBMW、8位にトヨタ、と自動車メーカーがランクインしていました。しかし、2013年は、BMW12位、トヨタ19位、とランクを下げています。

コンサルティング会社
2011年は、10位以内にコンサルは1社もありませんでした。それが今となっては、3位 マッキンゼーと 9位 PwCです。


IT部門(プログラマ)
この部門は今年新設されたばかりなので、単純な比較はできません。ただ、アメリカの大企業が上位を総なめ、という点は面白いです。

Google はじめアメリカの大企業は、ロシアに R&Dセンターを設立し、安い人件費で(でもロシアでは高い方) 優秀なプログラマ(エンジニア)を雇っています。IT業界 2位の売上*6を誇る Lanit ですら 41位ですから、ロシア企業の不人気さが伺えます。

ちなみに、日本では起業家の王道?になりつつある、理系×コンサルの兆候はあまり見られませんでした。マッキンゼーの26位が最上位です。データサイエンティストとか強そうなのに...。


感想
日本の学生と比べると、ロシアの20代前半は受身な印象があります。国柄?をくみ取ると、ロシアで若者といえば18歳~35歳を差し、修士課程への進学率も比較的高いことから、20代前半は教えてもらうもの、という雰囲気が根付いています。

ゆえに、キャリア志向の学生である程、大企業でしっかりとした研修を受けたい
、という想いは強いと思います。(そもそも、新卒をとってくれるのは大企業くらい、という見方もあります)。

外資企業が人気な理由はたくさんあると思いますが、個人的に、大学への寄付(援助?賄賂?)が大きいのは重要なポイントだと思います。冒頭で述べたように、文系理系問わず、タッチングポイントが多いのは外資企業ばかりです。

少子化だからこそ、産学連携は採用の観点でこそ重要になってくる気がしました!


出典:UNIVERSUM

*1:直訳するとロシア石油

*2:世界の天然ガスの14%、ロシアの天然ガスの74%を占める

*3:ロシアの石油生産16%を占め、1兆1千億円の純利益

*4:世界最大の石油会社(国営)。1兆6千億円の純利益

*5:ロシア銀行が51%株式を保有する

*6:2012年度は約2200億円

ロシア製スマートフォン YotaPhone がほしい!


一部を除き、日本ではあまり知られていないと思いますが、ロシア初の国産スマートフォン YotaPhone が海外のガジェット好きの注目を集めています。初代 YotaPhone は 2013年12月に販売を開始しました。

YotaDevicesは、先月バルセロナで開催された World Mobile Congress にて、カラーの液晶画面と電子ペーパー(イーインク)の白黒画面、2つのディスプレイを搭載した YotaPhone2 を2014年末に発売することを発表しました。

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特徴
YotaPhone2 になってリニューアルされた点がいくつかあります。

まず、デザインが丸みを帯びた形に変わりました。画面が少し大きくなり(4.35インチ)電子ペーパー画面でも電話やメールが可能になりました。なので、バッテリーが減ったら、通常の液晶画面でよく使う情報 (連絡先や地図) を電子ペーパー画面に移せば、バッテリーがなくなっても見ることができます。

さらに、電子ペーパー画面では、SNSの情報を常に表示できるので、こまめに SNSをチェックするのに非常に便利です。逐一、アプリを起動させる必要がなくなる、ということです。また、読んでいる本の文章を 2度タッチすれば、SNSで共有することもできます。

ついでに、ロシア発!ということもあり、両画面とも手袋をつけたままの操作が可能です(アイフォン5Sにはこの機能がない)。これは真冬のロシアを経験した今の僕ならわかりますが、超重要ですw (じゃないと地図すら開こうと思えない...)


セキュリティ
Yota Device は World Mobile Congress にて Cellrox との提携も発表しました。同社のマルチパーソナルテクノロジーを導入することで、YotaPhoneは プライベートとビジネス の使い分けが可能になります。プライバシーとセキュリティを克服しています。

YotaPhone の Philosophy -情報が欲しいとき(必要なとき)は、仕事中でも、家でも、外出先でも、スマートフォンからアクセスできるべき- に Cellox のテクノロジーがぴったり!ということで、両社とも乗り気で開発に取り組んでいるそうです。




評価
ラスベガスの国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)の「最優秀製品」賞や国際クリエイティビティ・フェスティバル「カンヌ・ライオンズ」の「イノベーション」部門の「金獅子」を獲得しています。

iPhone5は、3日500万台を販売したのに対し、初代YotaPhone2か月で12,000台の販売に留まっています。しかし、Appleのようなブランドもない立場として、どのような層がYotaPhoneを買ってくれるのか検証できた、と強気です。

初代 YotaPhone 5か国のみで販売していましたが、今後は、ヨーロッパやアジア20か国でも販売されます。値段は19990ルーブル(約6万円)。尚、ロシアにおけるスマホの平均価格は5000〜6000ルーブルなので、やはり海外のガジェット好きがターゲットになるのでしょう。


スペック
2.3GHzクアッドコア
RAM2Gb
ROM32GB(eMMC)
AMOLED5インチ、E-ink4.7インチ
解像度1920x1080
リアカメラ8MP
フロントカメラ2MP

 出典:CNews

ログイン、パスワードが不要!ロシア発、新しいモバイル認証


セキュリティに強い企業といえば、カスペルスキーが有名ですが、ロシアにはセキュリティに価値を見いだす企業は他にもあります。例えば、以前ご紹介した Telegram もセキュリティに特化したメッセンジャーを提供しています。詳しくはこちら

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Digital Zone は、パスワード不要の新しいモバイル認証サービス をBanking & Finance 2014で発表しました。同社はPhantomというOSをはじめ様々なソフトウェアを開発している企業で、2005年にYandex プログラマー Dimitri Zavalishin 創業しました。現在は、ロシア主要 5都市に170名の社員を抱え、2013年の売上は5億円です。

他にも、ロシアで 2番のアプリディベロッパーである e-legion、CIS圏を中心に 3億人の加入者を擁するテレコム分野のエキスパート Bercut がこの事業に参画しています。

現在は モバイル決済においての利用を想定しており、テレコムと銀行と
ECを取り巻くエコシステムを形成することが狙いです。サービスをより堅実なものにするために、現時点では、ユーザー情報を含まないように、匿名もしくはユーザーの承認を必要とする形をとっています。


仕組み
IPアドレスに紐づいたモバイル認証を可能にすることで、ネット決済の際に、ログインやパスワードを不要にします。

現在、ECサイトなどで決済を行う際、以下の手順を踏みます。

 ①電話番号を入力、②SMSにコードが送られる、③WEBサイトにてコードを入力。

もし失敗すると、また再送信してもらう必要があります。しかし、Push-OTP 機能を使うことで、IPアドレスを元に送られて来たコードを自動で入力させるので、この手間を省くことができるのです。Facebook認証でワンクリック登録するイメージです。

他に、わかりやすい利用シーンとして、クレジットカードなしで、ATM からお金を降ろす場合が想定されています。

ユーザーからの依頼(トランザクション)を受け取ると、銀行は「私たちの情報によると、Aさんは○○通りにいるのですが、本当でしょうか?」と携帯電話事業者に尋ねます。携帯電話事業者は、IPアドレスからユーザーの位置を特定します。ここで、銀行から送られて来た情報と照合して、確認が取れればトランザクションを承認して、無事にお金を受け取ることができます。


今後の計画
将来的には、性別、年齢、通話料金、購入履歴、などの顧客情報を元に、銀行やECサイトのパーソナライズを目的としたサービスの提供を考えています。例えば、クレジットの信用などは、履歴に基づく適切な評価ができます。

他にも、SIMカードと紐づけた 電子署名 も可能になります。ただし、現行の法律では課題が残るため、まだ実現には至っていません。既に説明した、クレジットカードなしで、ATMからお金を引き出す時代はすぐに来るそうです。

尚、
現在はβ版を試している段階で、正式リリースは2014年秋頃を予定しています。


出典:CNews

 

ロシアのインターネットサービス TOP10


フォーブスが発表するロシアのインターネット企業トップ1
0を紹介します。ただし、決済システムなどの BtoB企業、および、EC関係はこのランキング対象外となっています。(どちらかといえば、BtoBの方が知りたかった...w)

1位 Яндекс (Yandex)

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サイト:Yandex.ru
設立:2000年
社員数:4500人
売上高:1238億円

ロシアにおける検索エンジンのシェアは、Yandexが53.4%、Googleが33.9%であるが、ロシアとベラルーシを除く旧ソ連圏では、既に Googleの方がシェアは高い。デイリーユーザーは 5000万人で、売上の960億円は広告収入(コンテクストマーケティング)によるもの。ロシアの企業ランキングで16番目、時価総額は1兆3500億円。


2位 Mail.Ru Group

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サイト:Mail.ru
設立:1998年
社員数:3000人
売上高:861億円

ロシアで #2のSNS《Одноклассники》や #1の就職サイト《Headhunter.ru》の株式を100%保有し、ロシアで #1のSNS《ВКонтакте》の39.9%、ロシアで #1の端末決済サービス《QIWI》の10.4%も保有している。ロシアの企業ランキングで21番目、時価総額は8800億円。QIWIは 41位で2800億円。


3位 ВКонтакте

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サイト:Vk.com
設立:2006年
社員数:N/A
売上高:215億円

登録者数は2億人を越え、デイリーユーザー 6000万人のロシア最大のSNS創業者の1人である、パーベル・ドュロフ氏(29)は Dgital Fortress という新会社を設立し、メッセンジャーアプリ Telegram の提供をはじめた。 詳しくはこちら


4位 РБК (РосБизнесКонсалтинг)

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サイト:Rbc.ru, Qip.ru
設立:1993年
社員数:1500人
売上高:156億円

ビジネス情報を扱うポータルサイトを複数運営しているグループ会社。1992年にドイツ人の学生がビジネスのニュース掲示板を立ち上げたのがキッカケ。2013年 Rbc.ru の視聴者は1500万人を超えた。売上の118億円はオンライン広告によるもの。


5位 Playbill Rambler SOUP

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サイト:LiveJournal.com, Rambler.ru, Afisha.ru
設立:2013年
社員数:1500人
売上高:133億円

ロシアの資産家ランキング(長者番付)で 7位(1兆4千億円)と 45位(2300億円)に名を連ねる 2人がオーナーのグループ会社。ブログサービスを運営するLiveJournal、コンテクストマーケティングのBegun、など他多数。(正直よくわかりませんw)


6位 iFree

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サイト:i-free.com
設立:2001年
社員数:650人
売上高:130億円

モバイルアプリ開発やNFC決済、電子マネーなど。モバイルゲームにおいて、チャイナテレコムと提携を結んだり、BRICsを中心に海外展開にも力を入れている。また2011年にはファンド(CVC)を立ち上げ、NFCはもちろん、ARなどテクノロジーへの投資も行う。(ちなみに、サイトには250億円の売上と書いてあります...)


7位 Game Insight

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サイト:Game-insight.com
設立:2010年
社員数:900人
売上高:110億円

Astrum Online Entertainment (ロシア最大手のゲーム会社。現在はMail.Ruの傘下)の元社員。モスクワとカリフォルニアに本社を置く。約40本のタイトルを配信し、25千万ユーザーを抱える。《Tank Domination》やDragon Eternity》がヒット。


8位 2ГИС

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サイト:2gis.ru
設立:1999年
社員数:3000人
売上高:97億円

2000万人以上が利用する地図アプリ。ノボシビルスクの夫婦が創業。地図上で、レストランやホテル、映画館などを探し、表示されるリンクからスムーズな予約が可能。(バスの路線図がわかりやすいので、個人的には Yandex Mapよりも便利)


9位 Superjob

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サイト:Superjob.ru
設立:2010年
社員数:192名
売上高:65億円

約100万人が利用する業界2位の就職サイト。業界1位は Mail.Ru が運営する《Headhunter.ru》で、毎月600万人がサイトを訪れる。他のインタビュー記事において、この競合に対して「彼らと協力関係にはないが、仲良くしている」と回答。(具体的な差別化などは見当たりませんでした...)


10位 Avito

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サイト:Avito.ru
設立:2007年
社員数:176名
売上高:60億円

ロシア最大のCtoCサイト。不動産から何まで約2000万点が出品されており、2010年には3000億円が、2012年は2兆円が、サイト上で取引された。南アフリカのNasperというメディア会社 (Mail.Ru の株式も30%保有) から 50億円(18.6%)の投資を受けている。


まとめ
5位と6位は知りませんでしたが、有名どころはこんな感じ、というランキングです。ただ、予想に反して、ほとんどのサービスが広告収入を源泉としており、がっつり売り上げている企業は少ないです。中流層が増えているとはいえ、有料会員など課金をする層はまだまだ少ないのが現状だと思います。そういえば、動画サイトもほぼすべてが広告モデルでした。

今度は ECについてご紹介しようと思います!


出典:Forbes.ru