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IT大国ロシア

ロシアのITベンチャー、ロシアの大学生、ロシアのあれこれ、日本ではアクセスしにくい情報やニュースを発信します。

これさえ知れば完璧!ロシアの主要ベンチャーキャピタル

VC/インキュベータ


ロシアのベンチャーキャピタル業界では、RunaCapital と AlmazCapital がずば抜けたプレゼンスを発揮しています。この 2ファンドに注目していれば、ロシアのスタートアップ事情を掴むことができると思います。

Runa はシリアルアントレプレナーによる若きプロ集団、Almaz は老舗・大御所という感じです。シリコンバレーはじめ、海外のトレンドをロシアに輸入しているのは、この 2ファンドの功績ではないでしょうか。

他にも、モスクワ物理工科大学に特化したファンドは、スタートアップが製品開発にフォーカスできるように、Runa と Almaz がビジネスサイドをすべて請け負うなど、若手の育成にも取り組んでいます。

RunaCapital

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クラウドコンピューティングや仮想化、モバイルの分野に投資する135億円規模のファンドです。
20〜40%と引き換えに、2.5〜5億円を投資していますが、10億円を投資した案件もいくつかあります。ロシアだけでなく、シリコンバレー、ドイツ、イギリスの企業にも目を向けています。また、現在調達中の2号ファンド 200億円規模と予想されています。

ポートフォリオ
 Nginx, Ecwid, LinguaLeo, Jelastic, Dnevnik.ru
 【Exit】 Parallels, Acronis, Begun, Acumatica,

Serguei Beloussov (創業者)
モスクワ物理工科大学で物理電気工学の修士コンピュータサイエンスの博士を取得クラウドコンピューティングにおける第一人者。Mac OSのデスクトップ仮想化のParallelsデータ復旧サービスのAcronis ゼロから1000人規模の大企業へと成長させる。


AlmazCapital

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1030%と引き換えに 7億円〜10億円を投資しています。2013年の終わりに発表した2ファンドRuna と同規模200億円程度です。Qikは Skyepに150億円で売却したロシアのIT業界ではトップクラスの成功事例です。

ポートフォリオ
2can, Acumatica, AlterGeo, Jelastic, Paralells
【Exit】Qik, Yandex

Alexander (Sasha) Galitsky (創業者)
モスクワ物理工科大学コンピュータサイエンスの博士を取得後、ロシア連邦宇宙局で衛星のデータ通信の開発。その後、ソフトウェアの会社を5社売却し、シリアルアントレプレナーとして、ロシア初のVCファンドを立ち上げる。現在は、スコルコボのボードメンバーとしても活躍。


iTechCapital
メディア、テレコミュニケーションに投資する、とホームページには書いていますが、ポートフォリオをみる限り、旅行・広告に投資しています。現在は8社へ投資していますが、特筆すべきは1件あたりの投資額です。

ポートフォリオ
SEOpult, Garpun, icontext, Ticketland, aviasales.ru
【Exit】Qiwi

チケット販売最大手のTicketland、航空券予約のaviasales.ru、SEO大手のSEOpultに 10億円ずつ、さらに、アドテクのGarpun に3.5億円、icontext は非公開ながらも同社の株式25%相当と、大きな金額を突っ込んでいます。


Grishin Robotics
mai.ru
最高経営責任者であるドミトリー・グリシン(36) ポケットマネー25億円で2012年に設立したファンド。コンシューマー向けロボットに特化しており、1件あたり、2500万~1億円。現在はシリコンバレーのみ。

グリシンは、モスクワ工科大学でロボット工学(学士)を専攻。その後はビジネスの世界に浸り、2005年に Mail.ru Groupを共同創業し、2010年には、Mail.ru912億円の評価額でIPOに導く。同年、ユーリミルナー(ロシア最大の投資家)の後を継ぎ、グループ会社の最高経営責任者になる。


UMJ Russia
日本で唯一のロシア向けファンド。現在は、IT、メディア、マテリアルの 3分野 10社への投資を行っている。支援先の Teamo.ru はロシア最大のお見合いサイトで、数百万人が登録している。有名な心理学者によって設定された 17の性格診断を元に、適切なパートナーとマッチングする。 

大坪 祐介 Yusuke Otsubo

1989年東京大学経済学部卒、日本銀行入行。1997~2000年在ロシア日本大使館(モスクワ)経済部一等書記官としてロシアのマクロ経済分析、金融 市場リサーチ等に従事。2003年CSKベンチャーキャピタル株式会社海外投資部長として米シリコンバレーイスラエル、ロシア等のベンチャー投資を担当、2007年よりユナイテッド・マネージャーズ・ジャパン株式会社において、UMJロシアファンドを設立・運用。

 
まとめ
ファンドよりキャピタリストの説明が多くなってしまいましたが、ロシアのVC業界は、

  1. 2011年(2012年?)から盛んになったコンテストやプログラムで数百万円を、
  2. 2010年以降に立ち上がった新ファンドから1000〜3000万円の投資を、
  3. 今回ご紹介した体力のあるファンドから億単位の増資を、

というエコシステムができつつあります。

テクノロジーベースのスタートアップには シリーズAで1〜5億円の投資、海外で流行ったサービスのパクリ(特に EC, 旅行, 広告, 動画)であれば、10億円〜の投資も行われています。シリーズC、Dになると他のプレイヤー(大型ファンド、金融機関)がいて、数十億円をぶっこめる人たちはいるので、あとは起業家の育成が課題になりそうです。

「鶏か、卵か」の議論ではなく、起業家の層が薄い、という結論(感想)です。