競合も10億円以上を調達!激戦、ロシアのホテル・航空券予約サイト
ロシアの都市をいくつか訪れるにあたり思ったのですが、ロシアのホテル・航空券の予約サイトは、中規模のスタートアップが乱立している状態です。
ロシアのインターネットユーザーは、2012年で6000万人、2016年には9000万人になるとされています。国際トラベルマーケット調査会社、PhoCusWright によると、2013年のロシアにおける旅行市場は5兆8千万円と推定されています。その内、約16% (1兆円)はオンライン予約によるもので、この比率は 欧州の50%台、BRICsの20~30%という数字に比べ低いです。しかし、このオンライン旅行市場は、年率50%で成長しています。
なので、数十億円の資金調達をしているメジャーなサイトを紹介します。
Aviasales.ru は iTechCapital*1から10億円。
既に13か国に進出し、400万人/月のユニークビジターを抱え、50万件/日の検索が行われています(27%がスマホやタブレットから)同社は、ロシア初のメタサーチによって、チケットの最安値を表示しています。
Travel.ru(旧名:Oktogo.ru)は VTB Capitalなどから30億円。
Oktogo.ru はロシア最大手のホテル予約サイトで、国内4000件、世界で25万件のホテル情報を保有し、国内だけで100万人/月 がサイトを訪問していました。2013年9月にTravel.ru に2億円で売却し、統合されてから、同社の利益は、2011年は10億円、2012年は30億円、2013年にはその3倍が見込まれています(2013年12月時点)
Ostrovok.ru はロシア最大のエンジェル、ユーリミルナーなどから40億円。
Yandex のエンジニア、Booking.comのロシア代表らが創業したホテル予約サイト。ロシア国内に3400件、世界中で135,000件のホテル情報を保有。予約手数料を取らない分、安値での予約が可能。
Onetwotrip.com は Atomicoなどから25億円。
2011年に創業した航空券予約サイトですが、2013年8月にホテル価格の比較サイトDealAngel を10億円で買収しました。2012年には売上300億円に上り、2014年あたりに欧州でのIPOを狙っている"らしい"です。
チケット予約は窓口で...
ロシアの国内移動は鉄道が主ですが、チケットの予約は一苦労です。クレジットカードさえあれば、普通にネット予約ができるのに、多くの方が窓口で現金購入です。(僕はロシアにきて1ヶ月目で財布を盗まれたので、現在クレジットカードは持っていませんw)
さらに大変なのが、窓口に着いてから、
「2月10日発、モスクワ行きは何時発の便がありますか?」
「7時だけです」
「あー、じゃあ2月9日の夜はありますか?」みたいな会話を窓口でします。
その後、身分証明書の情報を手入力するため、旅券発行に1人あたり5~10分くらいかかります。なので、窓口に並ぶとチケット購入で1時間はざらにかかります。
スーツを着て「ビジネスマン」と一目でわかる人たちは、既にEチケットの習慣が身についているようで、窓口に列をなすのは、出稼ぎ労働者、中流階級の若者、お年寄りです。きっと長年沁みついた「チケットは窓口で」という感覚があるのでしょう。
旅行チケットだけでなく、劇場(オペラやスポーツ)のチケット販売大手 Ticketland もiTechCapital から10億円を調達し、Eチケットのシェア獲得に取り組んでいますが、苦戦しているようです。(Eチケットはチケット販売の5%にすぎません)。
感想
で、問題は、中流層が増えているとはいえ、Rusbase によると、月収20万円の家庭は1年間に平均1回の旅行をするとされています。市場は伸びているといえど、まだ市場は小さく、パイの取り合いが極めて激しい状況です*2 今後、統合が進むのでしょうが、投資額は大きいのに、M&Aのディールはどれも少額ですね。