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IT大国ロシア

ロシアのITベンチャー、ロシアの大学生、ロシアのあれこれ、日本ではアクセスしにくい情報やニュースを発信します。

Yandexの買収リスト作成!&決算書も少し読んでみました。

 
先週、Yandex が Auto.ru というロシア最大級のクラシファイドサイトを175億円で買収しました。これは十分大きな金額ですし、最近は Yandex の記事が増えてきたと感じたので、Yandexの投資・買収を調べました!

投資・買収先リスト
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※1 Yandex は、2000年1月に5.3億円、2010年9月に15億円を調達
※2 図中の黄色は「Yandex.Factory」というスタートアッププログラムの一環

2011年の上場以降、数十億円規模のディールもちらほら出てきましたが、その中で175億円というのは群を抜いています。そこで、2013年度の決算書をよんでみました。勉強不足ゆえに、深い分析はできませんが...(ご指導お願いします)


損益計算書

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2013年度、売上高は37%増、当期純利益は64%増、という順調な成長を遂げています。売上1200億円の90%はコンテクスト広告による収入で、その中でアドネットワークの割合は20%ですが、前年比60%増です。

貸借対照表
流動比率562.2%*1当座比率484%*2自己資本比率65.3%*3ROEは28.9%*4と盤石な基盤を築いています。過去3年間と比べても、とりわけ大きな変化はありません。

キャッシュフロー計算書

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特筆すべきは、2013年Q4に600億円の転換社債を発行、260億円分の買戻しを実施していることでしょう。さらに、現金保有の傾向があり、1000億円を現金で保有していました。①ウクライナ問題、キプロス・ショック、などなど、外的な要因(政治リスク)が大きいためでしょうか。また、②2014年になって、投資・買収が急に活発になっていることから、計画的に備えていたのかもしれません。


政府との関係
4月中旬、プーチン大統領が「Yandexは外国資本の企業」ということを強調しながら「独占を避けるべく規制の対象になりうる」という旨の発言をし、一時的に株価に影響を与えました。

実際、5月末には、ロシア政府が20億円かけて Yandexと似たようなデザインの「スプートニク」という新しい検索エンジンを公開しています。とはいえ、メディアも軽く取り上げたくらいで、さすがにこれは失敗に終わると思います...。


株主
2014年6月23日時点の時価総額は8900億円です。この記事を書いているちょうど今、創業時から出資しており、10%保有の筆頭株主 Baring Vostok が2015年6月までにすべての株式を711億円でモルガンスタンレーへ売却することを発表しました。

先月も、創業時から出資しており、IPO時には20.5%を保有する大株主だった Tiger Global Management も大幅に売却しています(5.5%→0.2%)。その間、Oppenheimer Fund が 5%→13.9%まで比率を高め、筆頭株主になっています。


感想
市場も売上も伸びていて、転換社債を発行するなど、自信に満ちた経営をしていると思えば、政治の影響を受け、投資家の顔ぶれがガラリと変わってしまった。会社の規模が大きくなると、政府から目を付けられてしまう。ロシア特有の財務体質もありそうですし、ロシアを勉強する上でYandexはちょうどいいケースになりそうです。

今年中にあと2社くらい買収する用意ができているとは思うのですが。深堀りするためにも、比較対象が必要ですね。現時点では、スタートアップを買収できるほどの体力がある企業なんてごくわずかですが...。

もし間違いなどにお気づきの場合は、ご連絡いただけると幸いです

*1:流動資産/流動負債=1188/211.3

*2:当座資産/流動負債=1023/211.3

*3:株主資本/総資産=1423.7/2178.8

*4:当期純利益/株主資本=411.7/1423.7