IT大国ロシア

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【宇宙】衛星データのプラットフォーム!ロシアとアメリカが共同開発。

 
ダウリア・エアロスペース
というベンチャーが、衛星から送られる情報(画像データなど)に誰でもアクセスできるプラットフォーム CloudEO を開発しています。衛星データを扱う App Store として、覇権を握ろうとしています。


会社情報
2011年に設立、現在の社員は60名。ロシアの政府系インキュベータ、スコルコボ、および、アメリカ NASAのリサーチセンターにて衛星の開発を行っており、ドイツには CloudEO の運用に特化したオフィスがあります。2012年には、民間企業として初めてロシア宇宙連邦局と提携を結び、共同研究のため数十億円が充てられてました。

主な事業は2つで、
①監視および通信のための低コストな衛星開発
②衛星情報を扱うプラットフォームの構築

「衛星の販売」ではなく「データの販売」というビジネスモデルで、農業、自然災害、水資源の監視、インフラの制御
、などに役立てることを想定しています。


CEOの経歴

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ミハイル・ココーリッチ(39)は、ノボシビルスク国立大学で物理学を専攻しました。

【視察】 ノボシビルスクのスタートアップ事情 - IT大国ロシア

にあるように、ロシアで最も盛んな学術都市です。また、スコルコボ・ビジネススクール1期生でもあります。

大学卒業後、原子力発電の加熱、水処理のスタートアップを立ち上げますが、科学分野における事業は、ペイするまでに長い年月を要する、ということで方向転換します。2004年〜2008年、ホームセンターを創業し、ロシア 35都市に展開、売上は200億円を越え、これも売却します。2009年〜10年、ロシアの木材に特化した専門商社
Ilim Timber にジョイン、木材生産量世界TOP3に導きます。2010年〜2011、家電量販店のTechnosila に移り、売上1000億円まで復活させます((前任者が事業拡大のために多額の負債を抱え、一度清算しました。負債返済後、再起のためにミハイルがジョインしました))。

一言でいうなら「小売業に強い、シリアルアントレプレナー」です。


事業の進捗
開発にあたり、重さ 12kg、サイズ 10cm×20cm×30cm、1基あたり 5億円の衛星を小型衛星としています。そして、初の打ち上げは、来月の6月19日ソユーズ2.1bに搭載される予定で、衛星は先月の421日にバイコヌール基地に向けて既に輸送されました。

また昨年は、クリーンテックに投資する I2BF Global Ventures から20億円を調達しています。

ちなみに、2015年〜2016年を目処に Pyxis というプロジェクトが動いており、ロシア、カナダ、北欧諸国を取り巻く北極圏にインターネットを引くというものです。詳しいことはわかりませんが、特別な楕円軌道を描く衛星を打ち上げるらしいです。


出典:kommersant.ru