IT大国ロシア

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【注目】カロリー計算に特化したウェアラブル!


モスクワに本社を置く Healbe が GoBe という、自動でカロリー計算を可能にするウェアラブルを開発しています。

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特徴
細胞のグルコース量を調べることで、カロリーをどれくらい摂取・消費したか、計測します。さらに、睡眠パターン、血圧、脈拍数の測定も可能で、データはすべてスマートフォンに送ることができます。

3つのセンサーが内蔵されており、1分に4回、グルコース濃度を測定します。食後、インスリンが引き金となって、細胞はグルコースを吸収して水を排出します。この際、低()周波信号を送ることで、その濃度を検知するそうです。また、カロリー消費に関しては、心拍数モニターと加速度計データを組み合わせることにより、測定します。



尚、現時点では
90~95%の確率で正確な測定ができているそうで、それらに伴う技術特許を3つ取得済みです。


歴史
1999年、サンクトペテルブルクにある Algorithm という会社が、糖尿病患者のためにグルコースがどのように消費され、モニタリングはできないのか、ということで研究をはじめました。その後、2003年に、基礎技術は完成しました。しかし、資金不足などにより、当該事業は継続を断念しました。

2012年、創業したばかりの Healbe がその技術を買い取り、ウェアラブルの開発に着手(引継ぎ?)しました。現在は 5つの研究チーム*1に分かれ、研究・開発を進めています。

ちなみに、CEOはマーケティング出身ですが、メンバーは、アルゴリズムやロケット開発を専門にするガチガチのエンジニア畑で、ボードメンバーに、医療分野の出身者はいません。(もちろん、社員には医療のスペシャリストがいるそうです)


TRIZ
同社は、プロダクト製作において、TRIZというイノベーション手法を用いたそうです。端的に説明すると、バイアスを払拭し、顧客の課題を見つけ出す、というデザイン思考のようなものです。

以下、日本TRIZ協会ホームページより引用です。

 TRIZは、旧ソ連海軍の特許審査官であったゲンリッヒ・アルトシュラー(Genrikh Altshuller19261998)が様々な特許を調べるうちに一連の法則を発見し、これらの法則を技術問題の解決に役立てようと、実践的な方法論としてその基礎を築いた理論です。彼とその同僚たちが当初約40万件、のちに20数年間費やして250万件ともいわれる膨大な特許をもとに、体系的で、構造化された思考方法の理論を構築したものです。


クラウドファンディング

先月、クラウドファンディング Indiegogo にて 1000万円を集める予定だったのですが、オープンからわずか 2週間で 7180万円を集めたそうです。最終的に 1億円以上を集めることに成功しました。

支援者特典(インセンティブ)として、1台あたり125$で購入できる権利 400本を用意していました。その後、支援者はどんどん集まり、最終的に1台あたり189$で購入できる権利 1000本を販売しました。

ちなみに、希望小売価格は
299$とのことです。


批判
PandoDaily *2という
、TechCrunchの元記者が立ち上げたテックメディアは厳しい見方をしています。スタンフォード大学の教授、(スタンフォード卒の)医者、などの専門家から「そんなのは でたらめだ!」というメッセージを集めた 批判記事 毎週のように書かれています。

その影響を受け、出資者から返金要求があり、約3%にあたる 150万〜200万円を返金したそうです。


出典:RusBase

 

*1:①カロリー摂取②カロリー消費③脈拍数④睡眠パターン⑤ストレス

*2:アンドリーセンホロウィッツのマーク・アンドリーセンザッポスのトニー・シェイ、LinkedInのリード・ホフマンらから2.5億円を調達