IT大国ロシア

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Yandexの創業からIPOまでを描いた映画「startup」を観て思ったこと。

 

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今月 3日から、ロシア最大の検索エンジン Yandex の創業からIPOまでを描いた映画「startup」が上映されています。さっそく観てきたのですが、映画としてはあまり面白くなかったです...。

ただ、僕は「ビジネス」を話題にした映画が上映されていること、ましてや、それが「ITビジネス」であること、に驚きを隠せませんでした。それほどインターネットが浸透している証だと思います。

ちなみに、創業期(90年代)を描いた映画なので、ちょっとソ連映画の面影はありました。

映画のストーリー


実話ベースのフィクションにすぎないので割愛しますが、気になったシーンは以下の2点です。

政府 VS ベンチャー企業
ある日、政府関係者から「政府のサポートがないとやっていけないだろう?半国営企業になる気はないかね?」という打診をされるシーンがあります。今でこそ、そのようなやりとりはないと思いますが、この描写こそ、まさに日本人がイメージするロシアビジネスです。

チームビルディング
学生A(名前忘れたw)「人材募集の張り紙をみてきた。仲間に加えてくれ!」
ボリス「で、プログラムはどれくらい書けるんだ?」
学生A「書けない。でも、マネジメントができる」
ボリス「アホか、プログラミングもわからないのに、どうやって管理するんだ。」

素晴らしいことに、ロシアの起業家・ベンチャーキャピタリストは、物理学、数理学、コンピュータサイエンス専攻の方ばかりです。その意味では、日本よりもずっとシリコンバレーに近い気はします。とはいえ、プログラマーの給料・立場はまだまだ低いです。


Yandex の歴史
創業者である Arkady Volozh は大学卒業後、ロシア科学アカデミーという最高学術機関にて、データ処理の研究を行っていました。その後、1989年に、学生時代の友人プログラマーとArkadiaというYandexの前身になる会社を立ち上げます。この頃、ロシア語に対応した検索エンジンの開発に着手しはじめました。2005年にはじめて海外進出(ウクライナ)、その後、2011年にはNASDAQへの上場を果たします。

Yandex の名前の由来は "Yet Another index" らしいです。ロシア語の場合、Яндекс の「Я」は、ロシア語で「私」を指す一人称です。したがって「自分こそがindexだ」というニュアンスもあるそうです。


ロシアNo1メディア
2013年、Yandex はコンテクスト広告によって、1000億円以上を売り上げ、383億円の利益を出しています。一方で、Channel 1 というテレビ?放送局?は、29億円の赤字を出しています。ロシアでも明らかに時代はシフトしています。(正確には住み分け?)

ちなみに、スタートアップの展覧会やピッチコンテストでは、スマートTVへの注目度は結構高い気がします。


感想
言いたかったことは、

①「ITビジネス」で興行収入を期待できるほど、ロシアも変わってきている
② この映画に触発されて、起業に興味を持つ同世代が増えればいいな

という感想をお伝えしたかったのですが、ロシア語という参入障壁はやはりとても強いんだなということを再認識しました。(日本も似た様なものですが...)。

あとは、Yandexマフィアならぬ、Yandexのエンジニアが起業したりすれば、もっと面白いのですが、まだまだその気配はありません。とはいえ、エンジニアを引き抜いている事例はいくつかあります!