【視察】 カザンのスタートアップ事情
Russian Startup Tour という政府系ファンドが主催するイベントがあります。ロシアの全27都市で3か月かけて、ピッチコンテストをやる、というスタートアップの啓蒙活動です。カザンに行ってきたので、スタートアップ事情をまとめてみます。
カザンは人口100万人を超え、タタール人が50%、ロシア人が45%、少数民族が5%という都市です。先日紹介した Innopolic University を建設中だったり、理系教育が盛んな街です。観光地としても有名です。タタール人は美人で、そうじゃない人を探す方が難しかったくらいです(笑
カザンのスタートアップ
ピッチコンテスト(15件くらい)と同時平行で、起業家向けのセミナーをやっていたので、行ったり来たりして網羅することはできませんでした。コンテストでは、バイオ、IT、ナノテク、1件ずつ表彰されたのですが、恥ずかしながら、バイオもナノテクも説明がわかりませんでした...。ホームページすら見当たりません。
バイオに関していえば、骨の成長を3~6倍早める(=骨折からの回復が3~6倍早まる)という企業があったので、それ以上に面白い発表だったんだと思います...
IT部門で表彰されたのは、Road AR というカーナビアプリで、フロントガラスの前に設置すれば、カメラで道路標識を読み取り「駐車禁止!」「スピード違反!」などを警告してくれます。他にも、他ユーザーなどから集めた情報をもとに、渋滞を加味し、目的地への最適ルートを通知されます。
カザンのインキュベータ
イベントは IT-Park というインキュベーションセンターで開催されました。ここは、入居から1年で次のステージまで拡大できるようにサポートしています。(1年目は月額2万円ですが、2年目は月額10万円になります)。シェアオフィスには20社の枠があり、現在は15社が入居しています。
ecwid という、既存のECサイトと連動してSNS内でECサイトを5分で開設できるサービスを支援しています。45言語に対応し、40万店舗が登録され、140万人の利用者を抱えており、FacebookのECアプリでは #2 です。Runa Capital からも1.5億円を調達。
カザンのベンチャーキャピタル
Pulsar Venture Capital というカリフォルニア(シリコンバレー)とカザンに拠点を置くファンドがあります。まだプレシードのスタートアップにも投資し、10tracks という音楽アプリの他に、パーキンソン病など神経病の早期発見キッド、小型バイオマス、などのバイオテックにも投資しています。
10tracks は、PCから好きな音楽をクラウド上に保存しておき、モバイルアプリを開けば、どこでも音楽を聴ける、というサービスです。独自の認識アルゴリズムで、コピーが数秒で完了するのが特徴です。3GBまでは無料。
カザンの大学
以前 ブログ で紹介した、Innopolis University の状況を観に行こうとしました。
しかしながら、電車はもちろん、バスすら通っておらず、この雪の丘を越えることはできず、遠くから様子を眺めるのが限界でした。(帰りはヒッチハイクで帰るほど)
ちなみに、SNSで1期生にコンタクトを取って、メールでやりとりをしているのですが、現在は提携先のカーネギーメロン大学に留学しており、カザン(ここ)で学ぶのは来年からとのことです。1期は若手社会人が中心で、工科大学院の色が強いこともあり、起業(ビジネス)!というよりは、Google や Amazonで働きたい、という理由で入学した学生が多いそうです。
今月末は、人口第3位、エンジニア都市、ノボシビルスク(シベリア)に行きます!