ロシアのベンチャーキャピタル TOP10
フォーブスが発表するロシアの民間ベンチャーキャピタルトップ10を紹介します。ここでは、個人資産やExit 案件をもとにランキングが付けられています。なお、キャピタリストの名前はすべてロシア語の発音です。
1位 ユーリ・ミリネール (51)
ファンド名:Digital Sky Technologies (DST) Global (連絡先だけ)
ファンド規模:3000億円
設立:2005年
ポートフォリオ:Airbnb, Alibaba, Facebook, Groupon, LinkedIn, Spotify, Twitter, Zynga
ゴールドマンサックスと強い繋がりがあり、IPOをする案件にしか投資しないと言われています。最近では、シリコンバレーの有名インキュベータY Combinator に注目し、TechCrunchの記事によると、43件中36件へ1500万円ずつのエンジェル投資を行いました。
また、Mail.ru という事業会社を運営しており、同社は CIS圏を中心に2,4億人のユーザーをかかえるSNS ВКонтакте (国内シェア#1) 、2億人のユーザーをかかえるSNS Одноклассник (国内シェア#2)、三井物産も投資している決済端末 QIWI (国内シェア#1) の株を保有しています。
2位 ビークタル・レムシャ (43)
ミドルステージの企業に1億〜50億円の投資を行い、3〜5年の期間で、IPOもしくは戦略的パートナーシップを結ばせます。Badooは180カ国(40言語)で2億人が使う新しい出会いを提供するSNSです。他にも30社程度への投資を行い、総出資額は900億円を越えるとされています。
3位 レオニード・ボグスラーフスキー (62)
ファンド名:ru-Net Ventures, RTP Ventures
ファンド規模:500億円
設立:1999年
ポートフォリオ:ivi.ru, Ozon.ru, Fab.com,
主にアメリカのSaaSやクラウド分野に投資しており、世界で最も成長が早いECサイト Fab.com にはシリーズDで250億円の投資を行いました。他にも、ロシア国内で2000万人のMAUを誇る動画サイトivi.ru に40億円、ロシア国内最大ECサイトOzon.ruに100億円を投資しています【詳細はこちら】
4位 アレクサンドル・ドレツキー (58)
ファンド名:Almaz Capital Partners
ファンド規模:200億円
設立:2008年
ポートフォリオ:2can, Altergo, Jelastic, Paralles, Qik
ロシアでとても有名なベンチャーキャピタルで、国家ブロジェクト "スコルコボ" のボードメンバーでもあります【詳細はこちら】モバイルからの動画撮影に特化した Qik はSkypeに150億円で売却しています。OS仮想化ソフトを提供する Paralles は本社はアメリカですが、CEOは9-10位のセルゲイベローゾフが務めるなどロシア勢が活躍しています。
5位 ミハイル・チューチケビッチ (43)
ファンド名:Bright Capital
ファンド規模:220億円
設立:2004年
ポートフォリオ:Altergo, Deal Angel, Dcotor at Work,
クリーンテックやグリーンケミカル、デジタルの2分野に投資する2つのファンドを運用しています。効率かつ安全なエナジーストレージを提供する Aquion Energy という会社に55億円を投資しました。Dcotor at Work はロシア国内で5人に1人の医師(約20万人)が利用している世界最大級の医師向けSNSです。
6位 エドュアルド・シェンデラビッチ (37)
ファンド名:Kite Ventures
ファンド規模:60億円
設立:2008年
ポートフォリオ:Altergo, Zeptolab
ファンドを設立する前は、ネットワーク経済について大学で教鞭をとったり、Live journal の親会社であるSUP(本社モスクワ)にて開発戦略を担当していました。Zeptolabは日本では馴染みが薄いですが、世界中で累計4億ダウンロードされている Cut the rope というゲームを提供するロシア最大手ゲーム会社です。
7位 ユリービ・カシモフ (44)
インターネットとメディアへの投資を行うファンドを運用しています。IQ Buzz はソーシャルメディアを監視し、効果などを管理するサービスです。Megaplan はロシアのSaaS市場25%を占めるリーディングカンパニーで、業務効率化サービス(クラウド会計など)を提供しています。
8位 アンドレイ・カザーコフ (27)
ファンド名:Foresight Ventures
ファンド規模:10億円
設立:2011年
ポートフォリオ:Deal Angel
16社の売却実績があるパートナーと2人3脚で、破壊的イノベーションを起こすであろう企業へ平均1000万〜1億円の投資を行います。ホテル価格の比較サイト Deal Angel への投資は5位のBright Capital との共同出資です。また、Deal Angel は OneTwoTrip.ru という旅行サイトへ売却しました。
9-10位 マリーナ・トレショーバ (39)
ファンド名:Fastlane Ventures
ファンド規模:100億円
設立:2010年
ポートフォリオ:Spato.ru
BtoC (特に、EC, 旅行, SNS, ヘルスケア, 採用)に特化しており、ロシア国内に市場を創出することに焦点を当てています。また、Fast50 という50日でサービスをラウンチさせ、2~3年での売却を狙うプログラムも実施しています。Spato.ru は1.5年で ozon.ru に50億円で売却していました。【詳細はこちら】
9-10位 セルゲイ・ベローゾフ (42)
ファンド名:Runa Capital
ファンド規模:135億円
設立:2010年
ポートフォリオ:Ecwid, LinguaLeo, Nginx
15年以上の付き合いがある起業家たちによって設立され、クラウド、ホスティングサービス、仮想化、モバイルに特化した投資を行います。同氏は、バックアップ、復元、システムの移行におけるサービスを提供する Acronis のCEOでもあり、売上の約3割は日本市場のため、日本には注目しています。(以前、少しだけお話できました!)
まとめ
ファンドの説明や投資先の説明がごちゃまぜになってしまいましたが、全体的にBtoBならロシア発でも世界展開を狙えるサービスがちらほらあるようです。BtoCはCIS圏に特化したサービスが多いので、まだ市場は小さく、各分野の#1や#2へ売却を狙う投資が目立ったと思います。
出典:forbes.ru